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2009.12.18

ミルク

映画 2008年
監督 ガス・ヴァン・サント(『マイ・プライベート・アイダホ』の監督。懐かしい感じ。)
出演 ショーン・ペン エミール・ハーシュ ジョシュ・ブローリン ジェームズ・フランコ

感想
えっとショーン・ペンを俳優として見たくてみてみた映画。
むっちゃ、良かったです。
ショーン・ペンはこの映画で2回目のアカデミー賞主演男優賞を獲得したそうです。
納得の映画。

ゲイの映画ですが表現的には過激なものはほとんどなく、全体的に優しい空気感があります。そこが良い。
監督もカムアウトしたゲイだそうです。…納得した。
ゲイだけではなくマイノリティの人権に関して積極的に活動した政治家ハーヴェイ・ミルクの半生の映画化。
マジョリティによるセクシャリティなどへの差別の問題、人権の問題などに対して挫折も味わいながら前進していく彼の姿は感動的です。
彼の恋愛に関しても…非常によく描かれていると思う。
凄く優しくしっとりとしていて好きだな。
特にジェームズ・フランコ演じるスコットが素敵。
二人の関係はナチュラルで凄く良いと思った。

あとホンマにショーン・ペンは凄く良い俳優だと思った。
非常にナチュラルにミルクを演じていたと思う。
もう、上手すぎるわ!!

映画の最初の方で「40歳になるのに、誇れる事は何ひとしていない」と彼は言うのですが、その後の8年間の彼の活動は、それを補うものがあったと思う。
結局、人間って年齢で諦めてしまう事もあると思うのですが、それだけじゃないんだって思った。

えっと自分のため、だけでなく他者のためにできる何かがあるっていう人生はとても良いものだと思います。
ミルクの生き方はそう。
自分の恋愛、生活よりも自分の信じる信念とマイノリティの人達のための活動を優先してしまう。
辛かったと思う。
でも、彼のまいた種は確実に実っていると思います。
それが素晴らしいと思う。
他者に対して希望の種をまいた事、これは非常に素晴らしい事だと思う。

あと、彼を暗殺してしまう人の描き方も良かった。
なぜそうなってしまったのか、背景が分る描き方で…一方的な弾劾となっていないトコロに監督の公正さが表れていると思う。
それは政治的な面でも一緒で、色んな主張があってマジョリティとマイノリティがあるんだけど、変なプロパガンダはなくってフェアに描かれているのが良かったです。

この『ミルク』にせよ『フィラデルフィア』にしろ、ゲイの映画に良作が多いのは、製作者側のマイノリティであるがゆえの辛い経験が、他者に対する優しさ,寛容さとして昇華されているトコロにポイントがあるのではないかと最近思います。
そこには偽善はなく、純粋な人間愛を表現しようとする視線が一貫してあるように思います。
そこが好きです。

以下は私見ですが
結局、生きるって事は自分のためだけに生きていても、真の豊かさは得られないのだと思う。
これは物質的な問題ではなく、精神的もしくは社会的な面で。
物質的に豊かでも心や精神性や社会性が貧しければ、結局、死ぬ時に何が残るのか?
偽善に陥るのではなく、真に他者や社会に対して貢献できる何かがあるって事は幸せなことではないかと思う。
って事で、非常にミルクの生き方を私は尊敬します。
基本的にアサーティブでありながらも、きちんと自分の筋は通し、戦略的に物事を進めていく彼の姿は非常に勉強になりました。
ユーモアは大事だなって再認識した。それは、どんな場合でも。
あと、差別や偽善っていうのは、理屈じゃないんだって事を再認識した。
自分の中にある無意識の差別意識から目をそらさず、消化していく事が大事なんだって思った。
また、自分自身マイノリティとしての自覚を持って、他者・社会に対して出来る事を行っていくことも大事だと思った。…私はゲイではないですが。マイノリティではあると思うので。

って事で、色々と考えさせられる非常に良い映画でした。
にんにん。

あ、あと個人的にはキリスト教原理主義って、やっぱり怖い。
あーいう人たちがキリスト教のイメージを悪くしているような気がする。
…なんか聖書とかきちんと読んだ事とかなくって、昔からの慣習だけを守っているような気がする。
それは、きっと異端審問とか魔女狩りとか植民地政策とか行っていた時代から変わっていないような気がするな…。なんにせよ、極端な思考は危険な気がします。
って事で、中庸を重んじる日本人で意外と良かったなって思ったりもした…。

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